“新しい日常”の課題に注目し、新しい当たり前を生み出すセコムの遊び心ある新サービスを創案せよ!―セコム―

セコムは、セキュリティサービスの最大手として、さまざまな場面で私たちの「安全・安心」を実現しています。さらに、そのちょっと堅いイメージに反して、実は多くのユニークなサービス開発を行っている会社でもあります。そんなセコムを最先端で牽引している沙魚川さんに、今回のテーマに込めた意図を伺ってみました。

【お話をしてくれた方】
沙魚川(はぜかわ)久史さん
セコム株式会社 オープンイノベーション推進担当リーダー
1976年生まれ。研究開発やコーポレート全般の企画業務に従事し、現在オープンイノベーションチームを率いる。イノベーション推進に向け「セコムオープンラボ」を主宰。挑戦的ブランド「SECOM DESIGN FACTORY」を立ち上げ。東京理科大学客員准教授を経てフェロー・ほか各種研究職を兼任する。

“新しい日常”の課題に注目し、新しい当たり前を生み出すセコムの遊び心ある新サービスを創案せよ!

「不便だな」から発想しよう。

――今回のテーマは、一つひとつの言葉にこだわったそうですね。

沙魚川さん:はい。昨年は2030年を舞台に、未来の課題や期待を想定し、社会や日常の当たり前を変えていくサービスの創案をテーマにしましたが、今は社会の変化をみんなが感じています。そのため今年は、“新しい日常”を前提に提案してほしいと考えました。近い表現としては厚労省の「新しい生活様式」、東京都の「新しい日常」などがあげられますが、私たちはそうした一般的な話ではなく、学生の皆さんご自身が感じた日常を起点に提案してほしいと思っています。

というのも、セコムは「変わりゆく社会に、変わらぬ安心を。変わり続けるセコム。」をキーメッセージに掲げています。社会が変われば、一人ひとりのニーズや課題感も変わります。商品を1つ作ったら終わりではなく、社会が変わることを前提に、ニーズに合わせてチェンジしていかなければいけない。“新しい日常”とは、実はセコムが長年取り組んできたテーマでもあります。

――世の中で定義されている新しい日常ではなく、学生自身が体感している“新しい日常”ということですね。では、「新しい当たり前」という言葉にはどのような思いが込められているのでしょうか。

沙魚川さん:今回に限った話ではないのですが、僕らは常に新しい当たり前を作りたいと思っています。今でこそ「会社や住宅のセキュリティと言えばセンサーが検知して駆けつける」というイメージが定着していますが、ひと昔前は人が宿直して警備するのが当たり前でした。僕たちはセンサーを使ったセキュリティという新しいサービスを普及させたり、たとえば、AEDがどこにでもあることが当たり前の世界を作ってきたのです。「世の中なんか変えられないよ」とか「声を上げたって変わらないよ」と思っている方は少なくないと思いますが、実はそんなことはありません。取り組みによって意外と社会は変えられます。強い信念を持って取り組めば、本当に動いていくものです。

――たしかに、セコムと言えばセンサーのイメージがあります。世の中の当たり前となるサービスをほかにも作っているのでしょうか。

沙魚川さん:はい。たとえばセコムグループのパスコでは、国土地理院から委託を受けて皆さんがよく見る地図データを作成しています。衛星測位を活用して日本中を測量しているわけです。皆さんがスマートフォンで見る地図は、国土地理院が発行した地図に民間事業者が情報を載せているもの。でも、その元となる地図データはセコムグループが作ったものかもしれません。また、常に衛星から日本全国を撮影しアーカイブしているので、地形が変わったこともわかります。災害が起きたときには、衛星から映した前後の画像データなどを提供しています。

ほかにもセコムは日本で唯一、国産の電子証明書を発行しています。webブラウザのURL欄に鍵マークが付いているのを見たことがあると思います。鍵マークが付くのは、電子証明書同士で暗号化している証。最近では多くのサイトでこの鍵マークが見られますが、セコムでは1999年から電子証明書の発行を手がけていて、みなさんのスマートフォンにもセコムの電子証明書が入っているんですよ。こういったところにもセコムの技術が使われています。

それ以外にも、メディカル事業を担うセコム医療システムは、総病床数約6200ベッドにおよぶ、21の病院の運営を支援していたり、自宅の患者さんのバイタル情報をリアルタイムで医師が遠隔から確認できるような遠隔診療支援のプラットフォームを提供していたりします。

――「安全・安心」の範囲はどんどん広がっていますね。学生からの提案には、セコムが目指していることを踏まえた方が良いでしょうか。

沙魚川さん:あまり問わないですが、なぜセコムがやるのか?ということは考えてみてほしいですね。ただ、審査員が喜びそうな優等生で綺麗なシナリオにはしてほしくありません。大人が考えそうなことは、大人が考えますから(笑)。皆さん“らしさ”として実体験のなかで思っていることを、僕らは聞きたいと思っています。日常生活の中で沸き起こる「変だぞ?」「不便じゃない?」など、おかしいけどそのまま進んでいることを課題にして、それらを解消するにはどうしたらいいか考えてみてください。皆さんの「遊び心」を楽しみにしています。

相手を共感させよう。

――沙魚川さん自身のお話を伺っても良いでしょうか。

沙魚川さん:はい。もともとサービス企業が技術を使う場面に興味をもって研究していたこともあり、縁あって途中でセコムに入社しました。当時の日本では、研究所や開発センターをもって自社で技術開発をしているサービス事業の会社は珍しかったんですよね。入社後は研究・開発部門を経て、セコム科学技術振興財団の事業責任者を担当しました。現在はセコム本社の企画部で企画の仕事をしながら、経営トップ直轄のオープンイノベーションチームを率いるという2つの仕事をしています。

このチームは、既存のサービスの延長ではない、まったく新しい価値を探索して新サービスを作る部隊です。もはや1社だけで新しい産業を起こすことは難しい時代なので、セコムオープンラボという取り組みを通して、さまざまな視点を持つ他社の方々と議論や対話を深めたり、一緒にプロジェクトに取り組んだりしています。また、この一環としてこれまでのセコムブランドからの連想の範囲に縛られない挑戦的ブランドとして「SECOM DESIGN FACTORY」というブランドも作りました。

ただ僕自身は、ものづくりのためにコラボするオープンイノベーションは結果であって、それよりも、まず、課題や価値観を探索するためのオープンイノベーションの方が大切だと思っています。結局、どう作るかよりも、何を、なぜ、作るか。だからセコムオープンラボでは、多様な属性の人たちの課題感を言語化して可視化してそれをオープンに公開することに力を入れています。そうすることでセコム以外の企業でもそこから気づきを得て新しい商品が生まれたりしています。そうやって、みんなで新しい世の中の新しい課題に取り組んでいこう、ということなんですね。

――学生の意見を聞くことも多いということでしょうか。

沙魚川さん:はい。たとえば学生50人、企業人50人で開催するZ世代をフィーチャーした回では、若い世代の率直な考えを聞いています。セコムオープンラボで価値観や課題感を議論する中で、学生世代の声が新しいサービス作りの気づきとして役立った例は少なくありません。学生世代の価値観は、ものづくりをしている大人にとってすごく刺激的です。「今そんな価値観が芽生え始めているんだ。じゃあ次は組み込まないといけないな」となるわけです。そして学生世代の価値観は、5年後10年後の世の中の当たり前になっていくわけですよね。

――沙魚川さんが普段アイデアをつくる上で大切にしていることは何ですか。

沙魚川さん:そうですね。結局アイデアの良さよりも、相手をどう共感させるかの方が大切だと思います。僕は日本のサービス産業分野の中でもかなり多くの特許を持っているのですが、いいアイデアだと思ってもそれ自体に強く固執せず、プランBや他の可能性を考えます。新しい価値を試していくなかで、お客さまのニーズや体験に合わせてピボットしていくものなので、1つのアイデアがいくつものアイデアに分かれていくこともあります。

そこで重要になるのは、相手をどう共感させるかです。今回であれば審査員ですし、僕らであれば経営陣、お客さまを共感させる。いくつアイデアがあっても、共感されなければ独り相撲で、商売になりません。逆に言えば、小さな共感が連鎖することで、社会にまで響いていくこともあります。

――目の前の人を共感させることの先に、社会があるということですね。

イノベーションに一番大切なのはセレンディピティ。

――ちなみに、沙魚川さんの今後の目標は何ですか。

沙魚川さん:セコムはもともと、お困りごとを解決することでマイナスの感情を解消してゼロに近づけることが得意です。たとえば不安を解消する、セコムに入っているから安心、というように。だから今後は、たとえば楽しく見守りをされるサービスなど、嬉しい、幸せといった、ゼロをプラスの感情にするサービスの開発に取り組んでいきたいと考えています。

――では、改めて今回のテーマに取り組む上で最も大切なことは何でしょうか。

沙魚川さん:はい。一番大切なことはやはり、生々しい主観です。客観的な意見は白書や新聞に載っていますが、おそらくそれを解決しても、誰もお金を払おうとは思いません。人がお金を払ってでも使いたいものは、誰かの主観によるニーズや課題、期待です。皆さんの日常生活でも不自由に感じることやこうあったらいいなと感じることはありませんか。その困っているということに隠された主観が大切だと思うんです。

――なるほど。では、アイデアを見つけたら、その後はどう発展させればいいのですか。

沙魚川さん:3つあって、1つ目は、チームのメンバー全員の意見を聞くようにすることです。これはみんなの意見を反映するということではありません。議論をしてアイデアを深めるのが大事ということなんですね。チームの中で声の大きい小さいがあると思うので、声の小さい人もチームの中では意見を言うようにすると良いと思います。必ずしも声が大きい人の意見が正解ではありません。

2つ目は、気づきの深掘りは少人数ですることです。拡散する際にはさまざまな人の意見を聞くのが良いですが、気づきをアイデアに収束させるための深掘りは自分たちだけでやることをおすすめします。

最後に、最終的なサービスを考える際には、順を追うと良いと思います。まずは強引に人の力で全部やったらどうなるかを考え、次にそれをオートマティックにやるとしたらどうなるかを考えるということです。期待が実現したり、課題がなくなることをゴールに、順を追って考えると良いと思います。

――この課題で学生に期待していることを教えてください。

沙魚川さん:ちょっと表現が古いのですが、学生の皆さんには、グッとくる良さを期待しています。というのも、最終的には心が動くかどうかが大切だと思うからです。テーマにある「遊び心」というメッセージはここに掛かっています。グッとくること、エモさを期待しています。

また、必ずしもコロナやニューノーマルという現在の話に寄せる必要はありません。審査する頃にはどういう規模になっているかわかりませんし、今の状況や今出来る技術に囚われると発想がありきたりになってしまいます。“新しい日常”は現在の延長線上にある皆さんの未来と捉え、皆さんで定義してください。

――それでは最後に、学生の皆さんへのメッセージをお願いします。

沙魚川さん:世の中にない新しいものは、気づきと気づきが偶然出会うことで生まれるはずです。同じ情報でも、自分の関心や意識が違っていると、見え方が変わってきます。自分1人の発想で何かが変わることは、あまり多くありません。だからさまざまな人と会話をしてほしいですね。またその中で見つけたインサイトを深堀りして、セレンディピティを起こしてみてください。皆さんのアイデアに、期待しています。

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